期間に応じて必要なスキルは変化する

災害支援ナースとは看護師個人が自分で都道府県の看護協会へ登録し、災害時に被災地に向かい医療や看護を提供する看護師のことです。災害支援ナースの登録にあたっては、5年以上の実務経験や災害支援ナース養成研修、および所属している職場の長からの承諾が必要となります。この災害支援ナースの養成研修では、災害や被災時などの緊急時に役立つ看護技術や知識を身につけることが可能です。特に災害看護では発生1日目から3日目の急性期、1ヶ月目から6ヶ月の亜急性期、それぞれの期間に応じた看護を適切に行えるかどうかが重視されます。

急性期には重軽傷者が入り混じる中で、適切に患者それぞれの初期治療や処置、気道確保や骨折、創部に対する直接的な処置を行う技術が求められます。さらに患者だけでなくその家族への精神的な支えとなること、継続的な心身の観察やケアも必要です。また、直接的な処置が落ち着いた後も、医療品や衛生材料の確保や管理、避難中の一般市民の病気状態、健康管理も把握しなければなりません。急性期に重要なスキルは、そうした状況把握スキルとライフラインの確保、被災者対応のスキルです。一方亜急性期では、避難所生活が1ヶ月以上の長期にわたる場合の感染対策や衛生環境整備に関する技術と知識も求められます。引き続き被災者の精神的なケアを行いつつ、通常診療へ移行するための準備、他機関との連携といったコミュニケーション力も問われます。